HOME   予防法務   「テクノ企業法務日誌」 
話合いによる問題解決   衝撃の同席調停    同席合意形成と法律業務   ニューヨークのMediation
 
LANCIA     FORREST    おまけ

弁護士大澤恒夫@対話研2002/2/8 

金融業界機関ADRモデル案について

金融庁・金融トラブル連絡調整協議会 2002/1/16公表(2月15日までパブリックコメントの募集が行われている)

「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル(案)」
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/13/singi/f-20020116-1.html

金融分野における消費者トラブルの民間型ADRによる解決

適正なADR→当該トラブルの解決+再発防止策→市場に対する消費者の信頼

利用者の自主性、納得の重視

簡易・迅速・低廉

専門家の知見活用

法律上の権利義務の存否にとどまらない実情に沿った解決 ←権利保護論との関係?

「処理」→「解決支援」〜解決を中立的な立場にたって支援する役割に焦点

 

基本理念    

 @ 中立公正

 A 透明性〜実績の公表,手続情報の浸透、外部からのチェック

 B 簡易迅速低廉

 C 実効性の確保

 D 金融市場の健全な発展(←本ADRの「最終目標」)

  〜金融取引適正化のルールの確保→利用者の権利保護→消費者信頼→市場の健全な発展

 施設の整備及び人材の育成

 参考:全国銀行協会「苦情の受付と解決促進に関する規則」http://www.zenginkyo.or.jp/news/kujoukisoku.html

*********************************************************

モデル案の概要の紹介と若干のコメント

  理念的事項

 ●5つの基本理念(前記)

 ●苦情等の原因解明→情報提供→再発防止

   意思推定説によらず、消費者が契約内容を正しく理解していなかった可能性を含めて原因究明〜消費者の契約内容理解向上のための対策

  

  通則的事項

 ●苦情・紛争の定義

 ●消費者への周知→再発・拡大の防止,潜在被害の掘り起こし→消費者の信頼の獲得

 ●当事者の選択権の保障・・ADR=同意に基づく解決⇒当事者の選択権の保障が必要

  〜紛争解決支援委員の名簿公開→当事者の選択に資するよう氏名・経歴を公開(中立性の判断のため、とも),紛争解決支援について消費者の希望する手段での対応,他のADRの紹介   ←支援委員を当事者が選択できる?

 ●ユーザーフレンドリー〜アクセス媒体の多様化,アクセスポイントの拡充、アクセス時間の拡大

 ●人材育成

 ●支援担当者の守秘義務〜訴訟に移行した場合、証言を拒絶する?

 ●他のADRとの協力・連携

 ●支援結果の公表,プライバシーの配慮

  〜運営の透明化・適正化、ルールメイクの促進,同種事案の申立て促進

 ●会員企業からADRへの対応結果の報告〜履行担保

 ●外部評価の実施

 

  苦情解決支援規則

 ●目的〜金融取引の公正性の確保、利用者の正当な権利の保護、金融市場の健全性の確保

   ←法律上の権利義務の存否にとどまらない実情に沿った解決との整合性?

 ●支援機関の責務・義務

  〜事情を十分にヒアリング、必要に応じた助言、事実関係の調査・確認、相対交渉の場合の申立人の正当な権利の保護への配慮、
    交渉不調の場合の他の方法による妥当な解決の促進,再発防止

 ●中立性・専門性

 ●会員企業の責務・行為準則〜誠実,迅速な対応義務、事実関係の調査確認協力義務、対応状況報告義務,再発防止対策義務

 ●取り扱う苦情の範囲、申立人の範囲

 ●支援手続〜相対交渉、あっせん、紛争解決支援への移行等

 ●標準処理期間〜2〜3ヶ月程度

 ●受付、オリエンテーション

 ●支援の拒絶、支援の終了

  〜訴訟調停継続中,同終了後、不当目的申立て、消滅時効完成、同一事案の再三申立 
   ←消滅時効完成などは拒絶事由にすべきか?(時効制度の本質論にも絡む問題を含む)。「法律上の権利義務にとどまらない実情に沿った解
    決」というコンセプトとの整合性は?

 ●相対交渉ケースにおける会員企業の誠実・迅速な対応義務、標準処理期間、ADRへ報告、他の手続への移行〜情報力・交渉力格差への配慮

 ●会員企業による解決促進義務とADRによるフォローアップによる解決促進

 ●支援機関による事実調査と会員企業の協力

  〜正当理由ある場合の拒絶(=訴訟時にも提出を拒否できる資料の除外等・・・たとえば「稟議書」は対象外ということ?

 ●支援機関による解決案の提示、会員企業による尊重義務

  ←紛争解決支援手続を設けるADRの場合は不要(=紛争解決支援手続への移行)

 ●ADRから申立人への結果報告、相対交渉ケースにおける会員企業からADRへの報告、未解決時の解決支援への移行

 ●不誠実企業に対する措置,勧告,公表

 

 紛争解決支援規則

 ●目的〜公正・迅速・透明な解決支援⇒公正性の確保、利用者の正当な権利の保護、金融市場の健全性の確保

   〜当事者の自主的な紛争解決能力を重視  ・・・後出の手続はこの理念に沿ったものか?

   〜ADRは解決を支援・援助する立場であることに留意

     ←これらの命題は具体的にどのように手続内に発現するか?

 ●支援機関の組織,責務

 ●支援委員の選任要件,欠格事由,除斥事由、解任

 ●運営委員会〜外部者による支援運営のチェック

 ●会員企業の責務・行為準則

 ●取り扱う紛争の範囲〜相対交渉前置主義ということか?(←実際は交渉不調でクレームになることが多いのでは?)、申立人の範囲

 ●代理人の範囲,資格

 ●申立て〜申立書(申立ての趣旨、申立ての実情,添付書類←リーガリズム? 簡易・容易性との整合性は?

 ●あっせん,調停を行わない場合

  〜訴訟,調停等の係属,不当目的・無権限申立て、経営方針・役職員個人 にかかわる事項、消滅時効完成
    ←法律上の権利義務論? 「実情に沿った解決」論との整合性は?

 ●申立人等に対する手続の説明〜オリエンテーション,イントロダクション

 ●標準処理期間〜原則3ヶ月以内にあっせん・調停案を作成、留意点として当事者の「納得性」も重要、と。

 ●審理手続〜原則同席、事情聴取と関係書類の提出,参考人聴取,鑑定

  〜「ADRにおける解決支援は対席して初めて可能となるとの考え」によるという、が・・・当事者は「処理の対象」になっていないか?

 事実調査〜申立書+証拠→答弁書+証拠,事情聴取 ←リーガリズム?

  〜「金融トラブルは事実認定が焦点になる場合が多く,『事実認定機能の強化』が求められる」とする。

 ●専門家の関与〜申立人サポート体制の整備→情報格差を埋める方策

 ●あっせん,調停の打ち切り,取下

 ●支援機関によるあっせん・調停案の提示 ←当事者の自主性の尊重,納得性等との整合性は? 対話による解決支援ではない?

  〜当事者双方に提示して,受諾勧告

 ●結果に対する同意,不同意

 ●あっせん調停案に対する会員企業の尊重義務

  〜不受諾の場合,理由の説明義務(申立人との力量の格差を勘案) ←不受諾理由の説明を要するとすると、あっせん調停案にも理由を付する
   必要があるのでは?←そのためには事実認定、法令等の解釈適用も示す必要があるのでは?・・・という方向=ミニ裁判?

 ●双方の同意による仲裁手続への移行

 ●会員企業に対する措置,勧告

 ●費用〜原則無料

 ●記録の保持,公表

 感 想 

「処理」から「解決支援」へ

  〜しかし発想は根本的に変わったのか? 具体的な場面でどのように変わるか?

業界ADRと中立性ということ

消費者問題〜情報格差と消費者に対するサポート

「法律上の権利義務の存否にとどまらない実情に沿った解決」ということと、モデル案の具体的内容の整合性?

  〜事実探求型の手続

  〜「ルールの実効性確保」との関係

当事者の自主性・納得を重視する場合、「解決支援」の手続構造はどうあるべきか?

 〜同席だが「対話」ではない構造・・・事情聴取の対象としての当事者? 

 〜ミニ裁判?〜「申立て」「答弁」・・・「事情聴取」「証拠」・・・(規範の解釈・当てはめ)・・・「解決案の提示」


大阪の研究会

同席コミュニケーションへ

HOMEへ

©2002 Tsuneo Ohsawa. All rights reserved.