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テクノ企業法務日誌 番外編
E-Commerceをめぐる法律問題の幕開け 弁護士大澤恒夫
はじめに
コンピュータと通信がいわば有機的とも言えるほどに融合したIT(情報技術)をベースに、インターネットをはじめとする電子ネットワークの世界が企業等の組織はもちろん、一般の消費者や家庭にまで深く浸透してきています。そのような情況を背景として、企業=企業間の取引(企業間ECについてはhttp://www2.jecals.jipdec.or.jp/escuare/statistics/dom2.aspに多数の具体例が紹介されています。)または企業=個人間の取引でE-Commerce(電子商取引)が爆発的ともいえる発展を遂げてきています。しかし、このように進展している技術やビジネスの世界とは裏腹に、E-Commerceを巡っては、様々な法的問題が噴出しており、それらへの対応はやっとその緒についたばかりで、ようやく夜明けを迎えつつあるのが現状と言ってよいでしょう。主要な項目だけ拾っても、E-Commerceの手法の保護に関するビジネスモデル特許やコンテンツの著作権保護などの知的財産に関する問題、電子署名・認証やハッキング対策などの安全性の確保に関する問題、契約の成立や無効などの契約ルールと消費者保護などに関する問題などです。
今回は「テクノ企業法務日誌・番外編」として、上記のうちビジネスモデル特許の問題と、ごく最近成立した消費者契約法と電子署名・認証等の問題に絞って概観したいと思います。読者の皆さんや企業の方々がE-Commerceに関連する予防法務を実践される際に、多少でもご参考になれば幸いです。
1 ビジネスモデル特許における特許性と侵害論
E-Commerceというとビジネスモデル特許というコトバがすぐ思い浮かぶほど、昨年暮頃から大きな話題になってきた問題です。いまインターネットで検索すると150以上のSiteが見つかるほど、ホットな話題になっています(例えば特許庁http://www.jpo-miti.go.jp/indexj.htmなど参照)。
(1) 具体例 まず実際上ビジネスモデル特許として登録になっているものを見てみましょう。ビジネスモデル特許が出願される分野としては、E-Commerce分野(その中でも仲介処理に関するものと決済処理に関するものがあります。)と金融ビジネス分野(その中でも金融商品開発、金融取引及び資産管理に関するものがあります。)があり、各分野の例を一つずつご紹介しておきます。
@ 逆オークション(Reverse Auction)を行うプライスライン特許(米国)
これはE-Commerceにおける仲介処理に関するものです。例えば私が東京―サンフランシスコ間の格安チケットを往復10万円程度で探しているとします。そこで私は自分のパソコンでインターネットを通じて、チケット情報を仲介するA社のサーバーに「10万円程度で往復チケットが欲しい」という情報を送信します。すると、A社はサーバーを通じてチケットを販売している複数の業者(例えばP社、Q社及びR社)に私の希望の情報を流します。そして、それを見たP・Q・R社からチケット販売情報がA社に寄せられます。P社は98,000円、Q社は105,000円、R社は110,000円など。A社は最も私の希望に沿うP社の98,000円のチケットを予約して私に連絡してくれます。これがプライスライン社が米国特許を有するビジネス手法の基本的なスキームです。買い手(私)が提示した条件で売り手(チケット販売業者P、Q、R)が入札を行うことから、逆オークションといわれる訳です。プライスライン社はエアチケットやホテル予約を行っている同業他社を相手に特許侵害で提訴をしているということです。
このほかアマゾンコム社のワンクリック特許(E-Commerceで顧客が一度顧客特定情報やクレジット情報等を登録すれば、その後はそれらの情報の入力無しでショッピングができる方法)なども有名な例で、これも現在裁判で特許侵害の係争中のようです。
A 住友銀行の振込決済サービス手法特許(日本)
これは金融ビジネスに関するもので、2000年になって日本で登録になった住友銀行のビジネスモデル特許です。これは、多数の人から振込を受ける企業E社があるとして、振込人A、振込人B、振込人C…がいるとします。この振込を取り扱う銀行(S銀行)は振込人A専用の振込専用口座(例えば1001)を指定します。同様にBにも専用口座(1002)、Cにも専用口座(1003)を指定します。振込人は自分に指定された専用口座に自分が振り込むべき金額をポンと振り込めば手続は終わりで、振込先E社の名前や口座番号、金額などを記載する必要ありません。以後も同様です。そしてAが振り込みますと、S銀行からE社口座に自動的に振り替えられ、「AからE社口座に○○○円が振り込まれた」旨通知される、というコンピュータシステムを使った処理の仕組みです。新聞報道では住友銀行は同様のサービスをする他の銀行に特許権を主張してゆくという姿勢だそうです。ちなみに住友銀行はこのほかにもファームバンキングに伴う顧客に対する情報提供に関するビジネスモデル特許を出願中(公開)とされています。
(2) ビジネス手法と「発明」におけるコンピュータの利用
特許といいますと、これまでは機械装置や製造方法などの工業的な技術といったイメージが強かったのですが、近年、ソフトウエア関連の発明がコンピュータ資源との組み合わせで特許として認知されるようになってきました(特許庁の平成5年「コンピュータソフトウエア関連発明の審査基準」及びこれを進展させた平成9年「特定技術分野の審査の運用指針」の「第1章コンピュータソフトウエア関連発明」)。ビジネスモデル特許は更に一歩進んで、ビジネスの手法をコンピュータシステムと組み合わせることで特許と認めるようになったものです(特許庁平成11年12月「ビジネス関連発明に関する審査における取り扱いについて」、平成12年4月「ビジネス方法の特許について」)。
特許法では元来、「この法律で『発明』とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規定されており、例えば上記の逆オークションのやり方そのものなどは自然法則を利用したものではありませんから、本来それ自体は特許にならないものです。しかし、そのやり方(ビジネス手法)をコンピュータシステム(これは自然法則を利用したものです。)と組み合わせること(前記の特許庁の運用指針では「ハードウエア資源を用いて処理すること」)により、「自然法則を利用した技術的思想」に該当するとされる訳です(なお、数年前から一部の法律学者から「自然法則」の利用性を特許の要件とすること自体について疑問が投げかけられておりますが、少数の議論に留まっています。)。
このようにことから、従来は特許とは無縁だと思われていたサービス産業、とりわけE-Commerceや金融ビジネスなどの分野で、新しいビジネス手法をコンピュータシステムと組み合わせて特許として出願する企業が増えてきましたし、実際に特許侵害クレームで提訴したりする事案が出てきたことから、にわかにビジネス手法の特許による保護の問題がクローズアップされてきたのです。
(3) 新規性・進歩性のあるビジネス手法か
ビジネスモデル特許が話題にされる場合、「そのようなものが認められると今まで誰でも自由に使えた方法が誰かの独占になってしまって、不合理ではないか?」という疑問が出されることがあります。ここで注意しなくてはならないのは、ビジネス手法なら何でもコンピュータと組み合わせれば特許として認められるかというと、そうではないという点です。つまり、特許として認められるためには、@まだ一般に世の中に知られていないものでなければなりませんし(新規性といいます。)、Aその分野の人なら従来の技術などから容易に思い付くようなものではないこと(進歩性といいます。)が必要です。
もし特許出願がなされた時点で既にインターネットなどで使われていた手法などであれば、新規性なしとされる訳です。特許クレームを受けて対抗する側としての問題は一般に世の中に知られていたということをどうやって認定するかという点です。インターネット上の情報は永続的に記録されているものではなく、すぐに消えてしまうものですので、ある時点で一定のビジネス手法がインターネット上で公然と用いられていたという証拠、その他新規性がない(公知だった)ことを立証する方法を確保しないといけません。
進歩性の点も微妙です。例えば前記の逆オークションの手法などは、説明を聞いた後で考えてみれば、なんだ誰でも考えられるものではないかと思われる読者もおられるかも知れません(そのような主張も現にあります。)。しかし、コロンブスの卵は一見簡単そうですが、やはり誰もが思いつけるようなアイディアではないものもありえる訳です。具体的な特許紛争になれば当然、進歩性を突き崩そうという主張が出てくるでしょうが、そのケースごとに判断する外ありません。
(4) 侵害論のむずかしさ
@ ビジネスモデル特許におけるクレームの範囲
ビジネスモデル特許については、どのような手法が特許されるのかという議論は多いのですが、実際の侵害論の問題になるとまだまだ十分な検討がされている状況にはありません。特許は特許公報に特定して記載される「特許請求の範囲」記載の請求項について権利が成立します。
例えば、昨年の6月に日本で登録になった「インターネットの時限利用課金システム」(特許第2939723号)の請求項1には「クライアントにインターネットとの接続サービスを提供するターミナルサーバーと、該ターミナルサーバーからの指示によりクライアントから入力された個別情報に基づいてインターネットとの接続を確認する認証サーバーと、該認証サーバーに連動し各クライアントの個別情報及び予め設定された利用可能な時間を示す接続度数から構成される認証データを各クライアント毎に一つのレコード単位として管理する拡張認証データベースを各レコード単位毎に有する認証データベースと、該拡張認証データベースに連動し各クライアントの接続利用時間に合わせて接続料金を計算して接続度数を逐次更新する課金サーバとを備え、該拡張認証データベースで管理されるクライアントの接続度数が0になるまでの間に限りインターネットの接続サービスを提供してなることを特徴とするインターネットの時限利用課金システム。」と記載されています(なおこの手法はアメリカでも特許になっているそうです。)。この請求項で実際のところどこまでのビジネス手法がカバーされるのか(何が侵害となるのか)は、必ずしも判然としません。一般のプロバイダーとの特別の契約などなしに、ユーザーIDやパスワード等が記入されたプリペイドカードの発行を受けた消費者が、その度数の範囲で手軽にインターネット接続ができるという事業がこれに該当する典型例だろうと思われますが、この特許の権利者がWeb Site(http://www.luvnet.com/~patent/)に掲載している「解釈」では「あらゆる方面でネット上のビジネスが行なわれた場合…この特許に該当するものと考えております。」とのことであり、一般のプロバーダーなどの業者に対して特許侵害の警告をしたという報道がありました(2000年4月3日インプレス・インターネットWatch)。この権利者の解釈で示されている「抵触すると考えられるインターネット・ビジネス」(上記URL参照)は非常に広い範囲のものになっていますが、「解釈」は相当に分かれることになると思われます。
A 間接侵害の問題
特許侵害は基本的に、請求項に書かれた要素を全て満たすものについて成立します。逆に言えばそのうちの一部分だけが同じものや一部分が特許の要素と相違するものは特許侵害になりません(ごく一部が相違しても実質上特許技術と同じと判断される場合に関する「均等論」については、拙稿・テクノ企業法務日誌30「知的財産侵害の分かれ道―均等論判決」を参照して下さい。私のホームページ(http://www2.tokai.or.jp/osawalaw/techno.htm)でもご覧いただけます。)。ビジネスモデル特許が例えばインターネットにおけるクライアントとサーバーとの組み合わせで請求項のシステムを構成している場合(X社特許とします。)、クライアントPCもサーバーも同一人(例えばY社)が構築してX社特許のビジネス手法を実施しているのであれば、Y社はX社の特許を侵害していることになるでしょう。しかし、例えばクライアントのPCは一般消費者(Cさんとします)のPCであり、インターネットのサービスを提供する事業者(S社とします)は該当のサーバーだけ構築しているケースを考えますと、一般消費者CさんのPCも事業者S社のサーバーもA社特許の要素の一部分しか構成していないことになります。そうすると、CさんもS社もA社特許を侵害していないのではないか、という問題が生じるわけです。特許法101条は「特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ使用する物を生産し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為」や「特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その発明の実施にのみ使用する物を生産し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為」は特許権を侵害する行為とみなすと規定しています。いわゆる「間接侵害」の規定です。上記の事例でいいますと、CさんのPCやS社のサーバーがA社特許対象となっている発明の実施「にのみに使用する」ものであれば、それを「生産し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為」を捉えて特許侵害を問うことは可能になってくるでしょうが、通常はPCもサーバーも汎用的なもので、「A社特許の実施にのみ使用」するものとは言えないでしょう。そうだとしますと、やはり上記の事例でX社はCさんやS社を相手にして特許侵害のクレームをすることができないのではないかという問題が残らざるを得ないのではないかと思います。
B 国境を越えた侵害?
上記の事例でX社ビジネス特許が日本の特許だとして、アメリカのA社がアメリカ国内でX社ビジネス特許に該当するような事業を行っているとして、日本のX社はアメリカのA社を相手取って特許侵害のクレームができるでしょうか?(あるいは逆にアメリカの特許を根拠に日本での行為に対して侵害クレームができるでしょうか?)。 そもそも特許権は日本の特許ならば日本国内でしか効力がありません(米国特許なら米国のみの効力)。日本国以外での行為に対しては日本の特許の侵害を問うことは出来ません(これを属地主義の原則といいます。)。上記の事例でアメリカA社が日本国内の顧客(Jさん)のクライアントPCからインターネットを通じて注文を受ける場合、A社が日本国内で行為をしていると解釈して、A社による日本特許の侵害が構成されないかという議論があります。確かにJさんのPCからの接続で日本国内での行為という捕らえ方が可能かもしれませんが、前記のように間接侵害の問題があり、A社のサーバーシステムがX社のビジネス特許を侵害することになるのか、疑問になります。それにJさんの行為を理由に日本特許の侵害を認めるとなると、実際上国境のないインターネットの世界では一国で特許を取得すれば、実際上全世界に効力を及ぼすことができるようになって、属地主義の原則に反することになります。また逆にアメリカの特許について上記のロジックで日本に効力を及ぼすということになったりすれば、それこそ大変なことになると思います。
(5) ビジネスモデル特許と戦略・予防法務 ビジネスモデル特許をめぐる企業の法的な対応について若干の点だけ申し上げたいと思います。
@ ビジネスモデル特許はサービス産業においても成立するものですから、今後、あらゆる企業や人々が事業や仕事の仕方のアイディアを大切にし、常にビジネスモデル特許の対象にならないかを検討し(営業部などひろく社内からアイディアを吸い上げる社内体制の整備をすべきです。)、知的財産部や弁理士さんと連携しながら特許化のアクションを起こせるような体制作り(権利化の体制整備)をすべきです。
A このような社内体制を機能するようにするためには社員教育による意識の向上が必要なことは言うまでもありません。
B ビジネスモデル特許をめぐる他社の出願や登録の動向を常にウォッチし、権利侵害のクレームを予防する体制も重要です。
C ただ、前記のように特許侵害の判断は難しい側面があり、特にビジネスモデル特許については十分な検討も裁判所の判断もなされていないのが現状ですから、疑問な点は専門家と十分な検討を行って、適切でタイムリーな対応をすべきだと思います。
2 E-Commerceの契約ルールと新しく成立した消費者契約法
(1) 契約ルール
契約のルールとしては旧来からの実際上日本で行なわれてきた契約実態を背景に、民法や商法といった明治時代以来の法令のもとで法的な判断がなされてきました。しかし、E-Commerceの時代においては電子的な仮想空間で目に見えない当事者同士の間で取引が行なわれ、しかもこのような関係形成が誰にでも手軽に国際的な広がりをもって行なわれます。そこにはこれまでは想像もつかなかった様々なリスクが介在することになります。そこで、契約はどの段階で成立するか、Web上の情報の内容やその理解に齟齬があった場合、入力ミスがあった場合などには契約無効になるのか、無権限のものがひそかに情報の送受信をして取引をした場合はどうなるのか、といった点についてE-Commerceに関する契約ルールとしてどの様に考えるべきか問題となります。これらの点については現在、日本でも諸外国でも種々の検討がなされていますが、確定したものはありません(本稿では詳しく触れる紙数がありません。さしあたり通産省が平成11年8月に公表した「電子商取引の環境整備の一環としての法的課題の検討について」に諸外国の検討状況を含めて報告がなされております。http://www.miti.go.jp/report-j/gdensy0j.html)。
予防法務的な観点からは、E-Commerceについては上記のようなリスクが伴うことを十分に考慮して、これらをできるだけ回避できる対応を事前に考えるということが重要になります。
(2) 新しく成立した消費者契約法
E-Commerceは事業者と一般消費者との間で行なわれることも多く、そこには常に消費者問題が潜んでいます。この消費者問題を契約のルールという側面から新しい法律で対応を図ろうということで、平成12年4月28日に「消費者契約法」という新しい法律ができました(平成13年4月1日施行で、それ以後の契約に適用されます。)。この法律は、消費者と事業者との間には情報格差や交渉力の違いがあることを踏まえて、以下のような消費者保護手段を定めています。
@ 事業者が重要な事項について事実と違う事実を告げたり、不確実なことなのに断定的なことを言ったりして、消費者に誤認をさせたり 等、一定の場合について、契約を取り消すことができることにしています。
A 事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効にすることにしてい ます。
E-Commerceを提供する事業者やこれを利用する消費者もこの消費者保護法を十分に理解して適正な契約関係の成立・運用を行う必要があります。経済企画庁の「消費者の窓ー消費者契約法関係」(http://www.epa.go.jp/99/c/shouhi/keiyaku.html)に詳細な逐条解説が掲載されていますので、是非参項にしてください。
3 電子署名・認証など
(1) 平成12年4月「電子署名及び認証業務に関する法律」、電子公証制度及び商業登記電子認証制度
旧来の契約ですと、当事者は相互に相手方の事業所などで相手がちゃんとした人かどうかも確かめて、契約も契約書を作成し、重要なものは実印で調印し印鑑証明書をつけるなどの方法で、安全確実な取引関係を形成するという方法がとられてきました。しかし、E-Commerceですと電子的な仮想空間の中で相互に素性も知らない当事者同士が関係の形成を行うわけで、相手が実在するものか、送られてきた情報は当該本人からのものか、到達するまでに改竄されていないか、後になって問題が生じたときに実印による契約書のように証明ができる方法はないのか等の問題が生じます。このような問題に対応しようとするのが電子署名やそれを確認するための証明をする認証業務です。諸外国ではすでに一定の法制度を整備している国々が相当あり、日本でも早急の対応が求められていましたが、平成12年4月に郵政・通産・法務の三省から「電子署名及び認証業務に関する法律案」が提出され、同名の法律が成立しました。電子署名を提供し、それを認証する民間事業は既にいくつかできてサービスを提供していますが、これが法的な制度として認知されることにより、より安全確実なE-Commerceが発展する基礎が整備されることになります。この法律の施行は平成13年4月1日です。
また、登記された会社・法人の代表者等について,登記所が最新の登記情報に基づいて電子証明書を発行するという「商業登記に基礎を置く電子認証制度」も創設されました。電子証明書は登記された法人の電子署名における公開鍵が間違いなくその法人のものであることを証明するだけでなく、会社の商号・本店,代表者の資格・氏名等の登記情報も証明されます。2000年10月から運用が開始され、順次全国に拡大されることになっています。さらに電子的なデータについても,その成立や内容について公証人による公証ができるよう「公証制度に基礎を置く電子公証制度」が創設されました(2000年度内に施行の予定です。)。これらについては法務省のホームページ(http://www.moj.go.jp/)をご覧下さい。
(2) 商工会議所の「適正」マーク
日本商工会議所は平成12年4月から、各地の商工会議所を通じて、ネット販売を審査して、「適正」マーク発行する業者認定制度を発足しました。これは売り手の実在を認定する「実在認証事業」で、認定を受けた売り手事業者は「適正マーク」を自社のホームページ上に表示でき、そのマークを消費者がクリックすると全認定企業のHP検索ができるようになっています。商品引渡し時期、返品特約制度の有無、苦情・相談窓口の有無などの明記が確認されるほか、誇大広告の有無も点検されます。このような認定制度で取引トラブルの相当部分が予防されるものと期待されます。ただし、商品・サービスの品質は認定・保証されません。
以上